Date: Sat, 09 Feb 2002 05:53:37 +1200
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Subject: 星空

 こちらに来て初めて月を見た。こちらの星空は日本では見なれない風景なのでなん だか不思議な気分になる。星の数も多いせいかな。でも、世界の首都の中で唯一六等 星が見えるのは平壌だという話を聞いたことがある。ここよりも良く見えるのだろう か。

 あなたに会えない間、あなたは何をしてきたのだろうか。あなたのしていることに ついては、正直言ってあまり関心がない。いや、関心を持ったこともあったけれど、 やはりがっかりして、関心を持つのをやめてしまった。
 はっきり言って、あなたが今までしてきたことには何の価値もないと思う。自分か ら逃げているあなたが何をしたところでまともなことができるはずはないから。地球 を大切に!!などとスローガンを並べ立てることはできても、実行などできはしない。 自分を大切にしない者が、他のものを大切にできるわけがないではないか。
 あなたが、自分のしていることに本当に価値があると自信を持って言えるなら、私 にわかるように説明してくれないか。もしかしたら私がバカで理解できないだけかも しれないから。

 昔、「科学技術など本当は必要ないなら、人間が今までしてきたことに一体何の意 味があったのでしょうか。」と○○さんに質問したとき、「しいて言えばそれが必要 ないと知るために必要だった。」と答えていたことを思い出す。あなたのしてきたこ とも、そんなことには何の価値もない、ということを知るために必要だった、と言え るのかも知れない。でも、自分のしてきたことには全く価値がないと、心から認める ことができるなら、それはまさしく、本当に価値があったと言えるだろう。そんなこ とを認めるのは生易しいことではないからね。

 それに反して、私は自分のしてきたことに価値がある、と思っている。あなたの目 から見ればそうは見えないのかもしれないが。でも、今のままでは決して完成できな い。実現できない。そういう意味では、あなたのしてきたこととなんら変わるところ がない。私のやっていることは、今のままでは完全に無価値に帰す。
 私はやるべきことはすべてやり尽くした。私のやっていることが価値を持つかどう かは、すべてあなたにかかっている。あなたが、自分のやっていることは無価値だと 認めるなら、私のやっていることの価値は完全に花開く。あなたが、自分のやってい ることに価値があると言い張るなら、私のやっていることは完全な失敗に終わる。
 どちらが、あなたにとって嬉しいことなのかな?どちらが、あなたの本当の夢を実 現することなんだろう?

 最近私にこんなメールをくれる学生が多い。

> From:
> Date: Thu, 07 Feb 2002 17:55:00 +0900
> Subject: Re: ニュージーランド
>
> こんにちは。メールをいただいてからだいぶ時間が経ちましたが今はどの様な状態なの
> ですか!?先生は今の自分は存在価値すらないというような感じがしましたが・・・。な
> ぜそう思うのですか!?先生がどんな困難な状態に陥っても前向きな姿に元気付けられた
> 人がたくさんいるのです。先生がここで沈んで諦めてしまうと先生に力を貰った人たち
> まで狂い始めてしまうと思います。誰でも幸せになる権利はあるのだから幸せになりな
> さいと教えてくれたのは先生です。だから落ち込んではいけません!!先生は幸せな姿を
> 必ず見せると宣言したんですから、どうか立ち直ってください。もうここまで来たら死
> ぬまで突き通して欲しいです。先生にはそれ位の力はあるはずですから・・・。
>

でも、私はこんな返事しか書けない。

> Date: Fri, 08 Feb 2002 08:27:22 +1200
> Subject: Re: ニュージーランド

> メールありがとう。
> 私はもう自分のやるべきことはやり尽くしたのです。
> あとはすべて彼の気持ち次第です。
 
 きのうはどういうわけか、○明と別れるのが辛くて、たくさん泣いた。私がこの世 で一番離れ難い人は、○明だ、ということをつくづく感じた。私がこの世で一番好き なのは○明。一番大切なのは○明。一番感謝しているのは○明。私は本当に○明に恩 返しができるかな・・・

 なぜ、あなたではないのだろう?

 あなたとは離れたくても決して離れられない。(離れたくても、というのは言葉の あやです。本当に離れたいわけじゃない。)あなたは多分この世の人ではない。だか ら、この世で一番、という範疇に入らない。
 八年前に、天から「死ね。」という言葉をもらって、「死にます。」と答えたとき もそうだった。あなたのことは全然考えなかったよ。
 でも、全てを捨てて死ぬ覚悟を決めた後に、あなたのところに行け、と言われたと きは思いがけない幸せに言葉もなかった。自分が一番望んでいることは何なのか、はっ きりと思い知らされた。

 ○明に言った。
「いいお母さんでなくて、ごめんね。You know whoが来たら、私をさらっていくかも しれないよ。そうしたらまた、あなたの為に何もしてあげられないかもしれない。」
 ○明はこう答えた。
「You know whoがさらっていくなら、いいよ。」

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